Qt 5.13 のウェブセミナーに参加しました
Qt 5.13 がリリースしたのを受けて 7/2 に開催された、New in Qt 5.13 & Qt Design and Development Tools Update というウェブセミナーに参加しました。
複数の製品の開発とリリースサイクルの同期
Qt, Qt Creator と、2つのデザインツール Qt Design Studio、Qt 3D Studio は現在それぞれの開発ペースに応じてリリースをしていますが、今年中にリリースのサイクルを合わせるとのことでした。
11月から12月にかけて、4つの製品を近いタイミングでリリースし、同期させるとのことです。
また、Qt Creator をベースにデザイナーが使いやすいツールとして開発している Qt Design Studio と、元々 NVIDIA が開発していたものがベースの Qt 3D Studio という2つのデザインツールを、年末をめどに一元化する予定ということでした。
開発、デザインツール
Qt Creator 4.9
- ECMA Script 7 をサポート
- Perf によるプロファイリングのサポート。ローカルマシンでもリモートマシンでも使えます
Qt Design Studio 1.2
- Photoshop と Sketch からのインポートに対応(商用版のみ)
- タイムラインベースのアニメーションをサポート
- カスタマイズ可能なビジュアルエフェクト
- ライブプレビュー機能
Qt 3D Studio 2.4
- 3D Scene Editor
- Asset Import 対応
- 3D エンジンを直接 OpenGL を利用するものに変更
- パフォーマンスが改善された
- 動的なオブジェクトの生成に対応
- バーテックスシェーダーによる動的な変更に対応
- ランタイムの比較 2.3 に比べて倍以上の描画性能になった
- CPU使用量もかなり削減できた
- メモリの使用量も15~20%程度削減できた
Qt 5.13
Qt for WebAssembly の正式対応
5.12 でテクニカルプレビューだったのを正式対応に。Qt のプログラムを WebAssembly 向けにビルドをして、ブラウザ上で動かせるようになりました。
マ ジ で ク ロ ス プ ラ ッ ト フ ォ ー ム !
Qt for Python
Python 向けのフルバインディング。
最近アクティブに開発をしている。
Qt Core と Qt Network
- シグナル発生のコストが半分くらいになった。
- zstd に対応し、リソースの圧縮率が高くなった
- Windows で Secure Channel に対応
Qt GUI
- バグの修正や改善がたくさん。
- QImage の変換が程コストでできるように
- ASTC 圧縮テクスチャ の対応
Qt QML
- C++ で宣言した enum の利用を改善
- JavaScript の null のバインディングを高速化
Qt Quick
- 大量のバグフィックス
- SplitView の追加
- TableView で行や列を隠せるように
Qt 3D
- OpenGL テクスチャのインポート・エクスポートに対応
- glTF 2.0 のインポートに対応
Qt WebEngine
- Chromium 73 ベースにアップデート
- クライアントサイドの証明書の保持に対応
- PDF の表示に対応
- 通知の API に対応
- スレッドセーフな URL インターセプトに対応
Qt Multimedia
- 動画のギャップレス再生に対応
- Windows と macOS でも GStreamer を利用可能に
- 環境変数で、バックエンドのプラグインを選択可能に
- PulseAudio で環境変数でチャンネルマップを指定可能に
Qt Lottie(TP)
- After Effects のアニメーションを再生可能に
- CPU 描画のため、小規模なアニメーションの利用を推奨
- 5.14 か 5.15 で正式対応にしたい
引退したモジュールについて
- Qt Script, Qt Quick Controls 1, Qt XmlPatterns は TQC はもうメンテはしない
- ソースコードは利用可能で、コミュニティベースの開発に移行
- Qt Canvas 3D はモジュール自体を削除した
Qt for Automation
MQTT, KNX 対応に加え、OPC UA や CoAP 対応などを進め、産業向け、IoT 分野に進出するための技術が揃いつつある。
Qt OPC UA
- クライアント側の対応が進んでいる
- 複数のバックエンドに対応
- basysKom というパートナーによる貢献
Qt CoAP(TP)
- 開発が進んでいる
まとめ
半年ほど前に安定版の 5.12 LTS が無事出て、実験的、挑戦的な機能が多く入るかと思われた 5.13 ですが、開発のリソースをツール側に振ったせいか(はわかりませんが)予想以上に地味なリリースとなっています。
みんな、大丈夫?ガンバレ?