The Qt Company を退職しました

3年前、2015年の11月に「日本に Qt のオフィス作るからジョインしてよ!」と Trolltech 時代からの知り合いに誘われ、2016年の3月に TQtC に日本オフィスの第1号の社員となりました が、11/14 で The Qt Company を退職しました。

AGL に貢献しました

入社してまず取り組んだのは、AGL という車載機器向けのプラットホームを開発するオープンソースプロジェクト でした。「AGL で Qt の悪評が広まってるようなので収めた方がいいかもしれない」というパートナーさんからのアドバイスを受け、昔の伝手を頼りに AGL プロジェクトに参加してみました。

当時は Qt 5.7 のリリースに伴い、オープンソースのライセンスのバージョンが LGPLv2 から、最新の、より制限の厳しい LGPLv3 に変わった ところでした。

LGPLv2 で利用可能な Qt を基に戦略を立てていた AGL にとってこのライセンスの変更は寝耳に水で、業界的には LGPLv3 は受け入れられない。「Qt のオープンソースのライセンスが変わったからね」という雑なお知らせがメーリングリストに投稿され、「こんな会社とは付き合えないし、そんなことをする会社に依存するリスクはとれない」という風潮でした。

そういった状況を少しでも好転しようと、様々な方とお話しさせていただき、なんとか納得をしてもらったり、Qt をちゃんと活用すると、やりたいことが簡単にできますよ、ということを実際に示したりして、少しずつ状況を改善していました。

成果の1つとして、CES2017 向けの AGL の公式デモの刷新 が挙げられます。それまでのアーキテクチャはモノリシックな巨大な QML を qmlscene で表示するという、かなりシンプルなものでした。

これを、Wayland 上でマルチプロセスで動く、まったく新しいデザインのシステムに生まれ変わらせる作業を、AGLのメンバーの一員として開発しました。

現在の最新版 6.x の公式の HMI もこの時に書いたコードが元となっています。

AGL の活動を通して、自分の書いたコードが日本をはじめとした様々な会社で使われるという体験ができました。社内での大小様々なプロジェクトの試作のベースとして使われたり、多くのソリューションベンダーがデモアプリを開発しているようです。

CTO の Lars と何故か新幹線で AGL のデバッグをしているの図

年明けの CES 2019 では、AGL プロジェクトが開発している UCB というプラットフォームが CES 2019 Innovation Awards Honoree を獲得しました。この勢いで 2019 年も頑張って行きたいと思っています。

Qt 商用ライセンスの販売

AGL が一段落して以降は、そこで築いたツテを活かして様々な車載関係の会社に対して Qt を使って(買って)もらう活動をしていました。

営業活動に際しては、自分たちが売っている製品を正しく理解できるるということは大事なことだということを学びました。

Qt のコンサル?

社内にプロフェッショナルサービスのチームができてからは、そこに移って、お客様のプロジェクトのお手伝いをしていました。

プロフェッショナル()なメンバーと共に、楽しく仕事をすることができました。が、お客様の満足度は決して高くなかったに違いないと思います。ご迷惑をかけた方々には、お詫び申し上げます。

Qt のブログを再開していました

NOKIA 時代にはじめた、Qt Blog の翻訳 を再開しました。マーケティングチームと相談をして、必要な許可は一通り得たものの、所属組織としての仕事とは認めてもらえなかったため、主にプライベートの時間で作業をしていました。このため、不定期で質にも満足できないという結果になってしまいました。

退職しました

腐ってもアップストリームなので、色々捨てがたいものもあったのですが、周りや自分が幸せになるようことに自分のリソースを費やしたいと思い、退職を決意しました。

そして転職しました

ドイツを拠点に、Qt の長年のパートナーとして活躍している KDAB のサービスや製品のアジアの総代理店を行っている tQCS という小さな会社で働くことにしました。

まだまだ小さな会社ではありますが、KDAB だけではなく、以前より日本で Qt のサービスを展開している SRAISB とガッチリと連携をし、日本で Qt をお使いいただく方々の為に様々な製品やサポート、サービスをお届けしたいと思っています。

KDAB の「プロフェッショナル」なコンサルサービスや トレーニングKuesa をはじめとした KDAB の製品に興味がある方は是非おしらせください。

KDAB は Qt 3D の開発元でもあるため、Qt の 3D で何かお困りの際には色々お手伝いができるのではないかと思っています。また、パートナーという立場を活かし「Qt を使う側の観点で」みなさんに寄り添ってプロジェクトのお手伝いができればと思っています。