Qt Contributors’ Summit 2015(2日目)

昨日 に引き続き今日も一日セッション三昧でした。

Local Qt Meetups, how to get them going and what support is needed?

セッションのノートは https://wiki.qt.io/QtCS2015_LocalQtMeetups

各国や各都市で勉強会を開催している人、してみたい人、したけどうまく行かなかった人などが集まってローカルな勉強会について議論をしました。

スペイン、ベルリン、ロンドン、サンフランシスコ、東京の他何人かの人が集まっていましたが、そもそも Qt の勉強会を単独でやる意味があるのか?とか、例えばこの間 MySQL の発表したんだけど、みんながみんな興味のあるトピックってないよねーとか。色々苦労しているようでした。

日本でも2年半前にそういうことを色々悩んで、結局2013年の1月からは発表形式ではなくモクモク形式での勉強会を開催しつづけてきていますが、まぁ普通に色々難しいですよね。

とりあえず日本では色々準備するの面倒くさいから発表なしで毎月やっていること、10人〜20人くらいコンスタントに集まっていること、場所だけ提供して、聞きたいことや発表したいことがあったら自由にしてもいいことにしていることなどを説明しました。

それ以外で現場でアレコレ地味な工夫とか努力をしていたりするのはしゃべれませんでした。

後半はどうやって宣伝してるの?とかいう話が多かったようですが、「Qt 勉強会」とかでググったら毎月やってることがわかるのが一番大事じゃない?と思ってました。言えませんでしたが。

最後に、Qt の中の人は何ができるか?という話になり、「シールとかTシャツとかなんでもいいから送ってよこせ!」という意見で一致しました。

本当は、もう少し長期的なスパンで、「コミュニティをどう育てるか」について話をしたかったのですが、「勉強会をどう成功させるか」が焦点だったので少し不発に終わった感じでした。

Qt Quick Controls 2

今まで開発を続けてきた Qt Quick Controls ですが、色々問題があって(特に組み込み機器では)あまり使い物にならないので、0から作り直してる 最中です。

今までの Qt Quick Controls は設計も実装もちょっとこれはないなーと個人的にも思っていたし、一昨日のプレパーティーのときに作者の J-P と、この新しい Qt Quick Controls 2.x については色々話をして、まぁ組み込み向けにちゃんと作るとそうなるよねー、とか、デスクトップ(特にネイティブのスタイルがからむ場合に)どうするの?っていう話もしていたので、セッション自体とてもおもしろかったです。

Improving QML debugging and profiling connections

「Qt Creator とアプリの間の通信をどうするか(いまは TCP だけど LocalSocket にも対応するか?)」というセッションでしたが、コネクションをどっちから張るべきかとか、そもそもデバッグの機能がどうなっているとか、議論の内容が多岐に渡って(脱線しまくったとも言う)結果的にとても楽しいセッションでした。

Test coverage and benchmarking with QML

Qt 5.6 の qmlprofiler コマンドとか qmlcoverage などのコマンドラインツールの話だったのですが、こちらもやはり脱線をして、Qt Quick で enum を導入するのが難しいのかどうか、リスト形式のプロパティの効率の改善など、色々な議論があって予想以上におもしろいセッションでした。

担当者的には直接的な収穫が少なかったかもしれませんが、いろんな機能に関していろんなアイディアが飛び交っていて、とても有意義な時間だったと思います。

Qt Quick performance

今回のイベントの目玉セッションの一つで、Jolla のスーパーハッカー二人(片方は超有名な Qt Champion、もう片方は Qt Quick 2.0 の描画エンジンの設計/実装者)が、現在の Qt Quick について様々なベンチマークを取りながらパフォーマンスの改善をしていった話が中心でした。

アイテムの生成のパフォーマンスや、描画のパフォーマンス、メモリの使用量の計測など実際のデモを見せながら、実際にどう直したとか、この辺がまだ改善の余地がありそうという話をしていました。

Inqlude – collecting all 3rd party Qt libraries

1つくらい変わったセッションにも出てみようということで、http://inqlude.org/ のセッションに参加してみました。

このウェブサービスは KDE の人がはじめたサービスで、Qt のアプリ開発者向けに、Qt で作られたライブラリのコレクションを提供しようというものです。

今のところフリーダムで運営しているのですが、もっとみんなに inqlude を知ってもらって、これらのライブラリを使ってもらえるようにするにはどうしたらいいだろう?ということで、様々な角度からいろんな可能性について議論をしました。

個人的な質問というか要望をあげてみたのでそのうち改善されるといいなーと思っています。

Long-term support Qt

去年のこのイベントで議論がはじまった LTS について今年も話をしました。

これのまえのセッションで、この写真のようにサポートプラットフォームのプランが決定し、これも加味した上で LTS をどれにする?5.4?5.5?5.6?という議論をしました。

LTS 化には今新しく開発している CI の導入が欠かせないこと(いままでの CI を今後数年運用し続けることはしたくない)。The Qt Company の商用ビジネス的にはどのバージョンでもいい(どっちにしろ長期的にサポートする必要があったりする)んだけど、Qt Project としてはなにを考えて決めるのがいいのか。Ubuntu の LTS に合わせて Qt 5.6 を LTS にするのがいいのではないか。LTS っていうけど何ヶ月くらいサポートするようにしようか。などなど、様々な側面から Qt の LTS をどれにするかを話し合いました。

このセッションの内容は https://wiki.qt.io/QtCS2015_LTS にまとめられていますので、Qt の LTS に興味のある方はぜひご覧下さい。

閉会式

Lars が最後に締めのあいさつをしました。みんな疲れていましたが、とりあえず「よくやったな俺ら」みたいな妙な一体感と達成感がありました。

まとめ

今回は数年ぶりでの Qt Contributors’ Summit の参加となりました。

一番良かったと思うのは、The Qt Company のこのイベントの担当者と色々交渉をして、長年に渡って?日本で Qt に貢献してくれている @IoriAYANE さんをこのイベントに無料でご招待できたことです。

この経験を活かして、さらなる活躍を期待しています。

基本的に Contributors’ Summit は「Qt の開発者が集まって今後の方向性を話し合う」イベントですが、「それ以外にも様々な形の貢献がありうるよね」という可能性が示せたらいいなーとちょっと思っていたので、担当者の協力で今回そういうことが実現できた事は個人的にとてもうれしく思います。

次は、朝木さんと一緒にまたオスロに行けたことですね。過去2回一緒にオスロに行ったことがあったのですが、久しぶりにまた一緒に行けてとても楽しかったです。

3番目は、日本から3人もこのイベントに参加して、アップストリームの人たちに日本の存在をアピールできたことです。先週 Qt Japan Summit が開催されたばかりということもあって、とても効率よくアピールできたと思います。

日本にもいっぱい Qt を使ってる人がいるし、楽しいユーザーコミュニティもあるし、変な表紙の本を書いている人もいるし、日本からの Qt への貢献(バグレポ/パッチ)なども地道に増えているんだよーということをことあちこちでアピールして回りました。

多少バグレポの英語が変だったり、時差の関係などでレスポンスが遅くなったりしても大目に見てね!という話を重要そうな人として、貢献のハードルをとっても下げてきたので、みなさん、気軽にバグレポしたりパッチかいて送ったりするようにしましょう。

これから1年間また色々頑張って、来年も参加できたらいいなーと思っています。

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